タグ:飯舘村 ( 2 ) タグの人気記事

飯舘村の猫マメの幸せについて

福島県飯館村にマメという名の猫が暮らしている。
飯舘村で犬猫に給餌をしながら写真を撮っているが、マメは特に気になる存在だ。

何度か会ううちに、僕の顔を見ると自分から近寄ってきて、ゴロ~ンとお腹を見せて歓迎してくれるようになった。
人懐っこいマメを見ていると、飼い主さんにとてもかわいがられ愛されていたことがわかる。

a0234688_19484281.jpg

a0234688_1949532.jpg


飯舘村は、東京電力福島第一原発の爆発事故により放射性物質に汚染された。
2011年4月に計画的避難区域に指定され、その後すべての村民が避難した。
以降、住人の立ち入りは可能だが、居住は禁止されている。

しかし、住人が避難した後も、多くの犬や猫たちは村で暮らし続けている。

住人の避難先の仮設住宅などで、ペットとの共生が認められていないことが犬猫が村に残された理由であるが、住人の避難から1年以上が経った今でも同じ状況が続いていることは、行政が動物の保護や避難に積極的ではないことの現れだろうと僕は考えている。


マメが暮らしているのは、飯舘村の中でも比較的放射性物質による汚染の酷い地域だ。
野球場一個分以上はある広い敷地の中で、ほとんどの時間をマメは一人っきりで過ごしている。
人が暮らしていない家からは、明かりが漏れることがなく、日が沈めばあたりは闇に包まれる。

誰もいない真っ暗な世界で、一人で過ごすことを想像してみた。
「すぐにでも明るい人のいる場所に行きたくなる」
自分ならそう感じるだろう。

だから人懐っこいマメに会った当初、
「こんなに人が好きな子がずっと一人で寂しい思いをしているのは、可哀想すぎる。。。すぐにでも保護してあげたい。」
と考えていた。

a0234688_1951431.jpg

★マメの見ている風景
マメの家は山の中腹にあり、とても眺めがよい。南側は遮るものがなく美しい山々を望む。



しかし、先日飯館村を訪れた際に、マメの暮らすお宅で飼い主のおじいちゃんにお会いして以来、少し考えが揺れている。

おじいちゃんは現在83歳。
福島市内の避難先から、数日おきにスクーターに乗って1時間の道のりを経て、飯舘村の自宅にマメの世話をしに戻ってきている。

おじいちゃんの滞在中、マメは常におじいちゃんの姿が見える場所でくつろいでいた。
数日に一回、昼間の数時間しか一緒に過ごせなくなってしまったが、おじいちゃんがいる時のマメは、とてもうれしそうに幸せそうに見えた。
おじいちゃんも、マメのことがかわいくて仕方ないようで、やさしいまなざしでマメを見つめたり、愛おしそうに撫でたりしていた。

a0234688_2012380.jpg

a0234688_2013912.jpg


震災前までは、おじいちゃんは、おばあちゃんと息子さんと三人で暮らし、牛を飼い、牧草を栽培して暮らしていた。
戦後この地に移り住み、長い年月をかけて開拓してきた土地だという。

おじいちゃんは、「シーベルトとかベクレルとか、よくわかんね」と自宅敷地内で放射線量の計測はしていないそうだが、お隣のお宅の牧草地では、今でも空間放射線量は10マイクロシーベルト超が計測されていた。

近い将来、一軒一軒の家の除染が行われる予定であり、現在の計画では『敷地+外周20mの除染を行う』ことになっている。
しかし、宅地や農地を除染したとしても、村の面積の約75%を占める山林から再び放射性物質が飛来するだろうと考え、除染の効果を疑問視する人は少なくない。

そして、農業、畜産、酪農など土地に根付いた産業を生業にしていた村民が多く、仮に放射線量が下がって村に戻ることができたとしても、一度放射能に汚染されてしまった土地で採れた食物は「風評被害で売れない」と、再び同じように仕事はできないだろうという声も多く耳にする。

a0234688_20411850.jpg


現在の放射線量を考えると、おじいちゃんの避難生活は、まだ当分のあいだ続くことになるだろう。
現在の避難先は、やはりペットとの共生が許されておらず、マメもひとりぼっちで過ごす時間の長い日々に、まだしばらく耐えなければならない。

おじいちゃんの帰村の負担や、マメの寂しさを思えば、やはりマメを保護して寂しくない環境で暮らせるようにするのも、ひとつの考え方だと思う。

しかし、一方でおじいちゃんのマメへの愛情、おじいちゃんを慕うマメの気持ちを思うと、おじいちゃんとマメを引き離してしまうのが、果たしてマメの幸せにとって正しいことなのかとも考えてしまう。

答えのでない疑問を前にすると、
「飯舘村が放射性物質に汚染されなければ、おじいちゃんもマメも寂しい思いをしなくてすんだのに。。。」
「原発事故がなければ。。。いや、原発がなければよかったのに」との思いに至らずにはいられない。

原発事故から一年以上が経った今でも、放射性物質の影響で、長い時間をかけて築きあげてきた生活を壊され、辛い思いをしている人や動物たちがたくさんいる。

そのことを忘れずに、今自分にできることをやり、自分たちの未来について考えていきたい。
少なくとも同じ過ちはもう繰り返してはならないと、おじいちゃんとマメのことを思うたびに感じる。


犬猫救出プロジェクトの大網直子さんと飯館村を訪れた際に、一緒にマメに会いに行った。
しばらく大網さんにかわいがってもらい、マメもご満悦。
大網さんには「もしもおじいちゃんが、マメの世話が大変になったら、マメを預かったり引き取ったりすることもできますよ、と話してみたら。」とアドバイスをいただきました。
今度、おじいちゃんに会ったら話をしてみます。
ありがとうございましたm(_ _)m
a0234688_19472942.jpg

a0234688_2024066.jpg

[PR]
by nekotoru | 2012-06-27 20:57 | 福島 飯舘村

飯舘村で会った老犬「やっと会えたのに、もう帰っちゃうんだね。。。」

a0234688_1915867.jpg


東日本大震災から一年の2012年3月10日、福島県の飯舘村で一匹の老犬が亡くなった。

東京電力福島第一原発の爆発事故により放出された放射性物質による汚染のため、昨年4月22日に村内全域が”計画的避難区域”に指定され、5月下旬までに村民の方々は村外への避難を余儀なくされた。

住民の方々の避難先の仮設住宅などの多くは、ペットとの同居ができない環境であったため、多くの飼い主は犬や猫を放射線量の高い飯舘村に残して避難せざるをえなかった。

ただし飯館村は、原発20km圏内の警戒区域とは異なり立入が制限されていないため、飼い主さん達は避難先から犬や猫の世話をしに村に戻ってきたり、村内を毎日パトロールする見守り隊の方に世話を依頼するなどして、犬や猫たちの命をつないできた。

3月10日に亡くなった老犬も、十何年も飼い主さんと一緒に過ごした生活を原発事故により一変させられてしまった。

彼は、生涯最後の10ヶ月程をいったいどのような思いで過ごしていたのか。。。

僕が彼にはじめて会ったのは、彼が亡くなる一週間前。。。
飯舘村で犬猫の給餌活動をするボランティアチームに同行させてもらった時である。

帰り際に後をついてくる姿、少し寂しそうな眼差し、
「やっと会えたのに、もう帰っちゃうんだね。。。」
「でもしょうがないよね」
そんな彼の心の声が聞こえたような気がした。

村を離れざるを得なくなった人々はもちろんだが、
人間に限りない癒しを与えてくれる、たくさんの愛おしい命たちもまた、
原発事故から一年が過ぎた今も厳しい状況に置かれ続けている。

飯館村には、3月いっぱいは冷たい雪が降ると聞いた。
せめて少しでも早く、村で生き続ける命たちが春の暖かさに包まれるように願わずにはいられない。

マル、お疲れさま。

a0234688_1971174.jpg
a0234688_197466.jpg


雪深い3月の飯館村の風景
街灯がなく日が落ちると辺りは真っ暗になる。
人々の生活が営まれていた頃は、家の窓から灯りが漏れていたのだろう。
寒くて真っ暗な冬の夜を想像すると、悲しい。。。
原発で電気をつくっていた福島には明かりが灯らない場所がある。。。

a0234688_1971387.jpg


「やっと会えたのに、もう帰っちゃうんだね。。。」
そっちの世界で元気に過ごしてね。
[PR]
by nekotoru | 2012-03-13 19:27 | 福島 動物


普段は猫写真家ですが、たまに小さなメディアになって伝えます。おしどりマコさんケンさんの「自分がメディアになろうぜ」一期生?(仮&非公認)自分で見たこと聞いたこと、感じたままにお伝えします。


by nekotoru

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
福島 飯舘村
チェルノブイリ
原発
福島 避難
福島 動物
福島 支援
放射能汚染
福島 被害
未分類

最新の記事

飯舘村の猫マメの幸せについて
at 2012-06-27 20:57
飯舘村で会った老犬「やっと会..
at 2012-03-13 19:27
「福島を風化させず、日本の未..
at 2011-12-24 12:58
あの日から8ヶ月半、2011..
at 2011-12-02 19:30
あの日から8ヶ月半、2011..
at 2011-12-02 18:58

以前の記事

2012年 06月
2012年 03月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月

タグ

検索

外部リンク

その他のジャンル

ブログパーツ

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧