福島で起こっていること 「放射線と健康リスク」国際専門家会議

9月13日の福島民報の一面で
「県民被ばくリスク低い」福島で放射線の専門家国際会議
さらに中面で
「心のケア重要性強調 最新研究成果を報告 放射線専門家の国際会議」
という記事が報じられました。

これらは、9月11日・12日に福島県立医科大学で開催された
「放射線と健康リスク―世界の英知を結集して福島を考える」
国際専門家会議(主催:日本財団)について伝えたものです。

国際原子力機関(IAEA)
国際放射線防護委員会(ICRP)、
世界保健機関(WHO)
国連科学委員会(UNSCEAR)

原子力、放射線に関する代表的な国際機関で活動する
放射線医学や放射線防護学の専門家約30名が一堂に会し、
「福島の現状を正しく掌握し、原発事故への健康リスク面からの対応を協議」
することを目的に開催されたこの会議、
開催前より多くの市民団体や研究者によって問題が指摘されていました。


●低線量被曝の健康への影響を認めていない研究者のみが参加

国際専門家会議に先立ち、9月9日に自由報道協会で開催された
「国際専門家会議への公開質問状に関する記者発表」

この場で、市民放射能測定所 岩田渉氏、丸森あや、NPOセイピースプロジェクト隅田聡一郎の各氏は、
「国際会議の参加者に、放射線の低線量被曝による健康への影響をICRPの評価より大きいと考えている研究者がいない。」
「3月中の段階で福島県住民に対してなされた100mSv以下の被曝は安全であるとの説明により、放射線防護に失敗し県民に被曝を強い、今もなお各地で様々な被曝が続いているのではないか。」
「異なる意見を持つ専門家、研究者との議論がなされないのは、自らの責任回避を図ろうとしているようにしか見えない。」
と厳しく指摘しました。

左から 丸森氏 岩田氏 隅田氏
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ICRPの2007年の勧告では、年間100mSvの被曝で1000人に約5人、0.5%の癌で死ぬリスクがあるとされており、100mSv以下の被曝については、学問的には「わからない」が、50mSvなら半分、10mSvならさらに五分の一のリスクがあるだろうと考えるのが合理的としています。

国際会議で委員をつとめる福島県立医科大学副学長であり、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーもつとめる山下俊一氏は、3月11日以降福島県の各所で行った講演会等で「100mSv以下の被曝では健康への影響はない」と断言しており、これはICRP勧告よりも100mSv以下の被曝について過小評価の立場をとっています。

一方で、中部大学の武田邦彦教授はHP上で、
「国際的には1年5ミリ程度まで大丈夫ではないかという医師が多い。10ミリを超えると危険な可能性があるという医師が増えてくる。」
と100mSvの十分の一、二十分の一のより低線量の被曝での危険性を認めている医師や研究者の存在を明言しています。

また、欧州放射線リスク委員会 (ECRR) の主張は、放射線防護基準はICRPの基準より少なくとも10倍厳しくするべき、というものです。

そもそも、ICRPの勧告では一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度は1mSvとされていますし、
放射線業務従事者の被曝限度は、単年で最大50mSv、ただしその前後5年間で100mSvを超えてはならない(年平均20mSv)。と法律で定められています。

これらの事実があることからも、100mSv以下の被曝による健康被害をICRPの勧告よりも大きいと評価する研究者の存在を無視することに疑問が生じてきます。

今回の国際会議の偏った出席者について、記者会見を行った三氏は「被曝による健康へのリスクは低いという結論ありきで集められたメンバーなのではないかとの疑問を持たざるを得ない」と語っていました。



●福島県民の不安解消が目的の『県民健康調査』

山下俊一氏は、福島県「県民健康管理調査」検討委員会委員にも名を連ねています。
その県民健康調査次第のなかに
『今回の福島第一原子力発電所事故による健康影響は極めて少ないと考えられる』
との一文があります。
これには、調査前に結果が予め断定されているのでは、との疑念の声が上がっています。

また、県民健康調査の目的は
『原発事故に係る県民の不安の解消、長期にわたる県民の健康管理による安全・安心の確保』とあります。
しかし、放射線防護の専門家の役割は「不安の解消ではなく、県民の放射線被曝を最小化し、健康被害を未然に防ぐこと」ではないかと三氏は指摘しています。

例えば、福島市役所付近の放射線の空間線量は
0.90マイクロシーベルト/時(2011年09月22日15時48分測定 福島市発表)

この線量を単純に24時間365日浴び続けたとしたら
年間の被曝量は、7.884ミリシーベルトになります。
0.90×24×365=7884マイクロシーベルト=7.884ミリシーベルト
単純計算による目安です。

一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度は1ミリシーベルトとされていること、
低線量の被曝による健康への影響を認めている研究者も多数いること、
放射線業務従事者であっても被曝限度が年平均で20mSvとされていること・・・

これらの事実からは、
現在の福島市の空間線量について
専門家、研究者のすべてが安全と断言するとは考えにくく
見解は様々にわかれると考えるべきだと思います。

より低線量の被曝の影響を認める見解の専門家、研究者の参加がない国際会議の場で出された
「県民被ばくリスク低い」
「心のケア重要性強調」
といった提言が、福島県民の多くが購読する福島民報に掲載されたこと・・・
このことは、本当の意味での福島県民の安全・安心につながっているのか
私自身は強く疑問を感じています。

全国的には、あまり大きく報じられていないと思いますが、
これも福島で起こっていることです。


※私自身、放射能、放射線の専門家ではないため、専門的な知識が充分ではありません。
調査の上、注意深く記述をしておりますが、文中に誤りなどございましたらご指摘ください。

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by nekotoru | 2011-09-23 19:28 | 原発


普段は猫写真家ですが、たまに小さなメディアになって伝えます。おしどりマコさんケンさんの「自分がメディアになろうぜ」一期生?(仮&非公認)自分で見たこと聞いたこと、感じたままにお伝えします。


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